別れ
父方の祖父/祖母の家を建替える事になった。
親父と二人で最後の記念に写真を撮りに出掛けた。
昔からこの松が出迎えてくれた。
俺個人的にこの家を見るのは今日が最後になる。
この庭から観える景色が大好きだ。
外観は継ぎ足し継ぎ足しで部屋を増やしたので不恰好だ。
トタン屋根の下は藁葺きだ。
この家だけ時が止まったかの様だ。
入り口は鍵が掛かっている。
鍵は祖父の仮住まいにある為父親曰く便所側の窓から入ってくれとの事。
硝子が割れている。
最初泥棒かと思った。
後で聞いた話で祖父が荷物を取りに来た時鍵が無かった為自ら割ったとの事。
良く考えてみればこんな空き家に泥棒なんぞ入る訳が無い。
中へ入ってみた。
必要なものは仮住まいの部屋に移動。
要らないものが散乱していた。
家って人が離れると一変する。
不思議なものだ。
いろいろな思い出が頭を過った。
小さい頃祖父の家に泊まりに来た時この薄暗い中で風呂に入るのが怖かった。
思春期になってそんな思いは消えたが…
台所と繋がっている為風呂に入る時は非常に恥ずかしかった。
この鏡は俺が小さい頃からここにある。
小さい頃夜中外の便所に行くのが非常に怖かった。
懐かしい思い出だ。
風が吹く度心地良い鈴の音が心和ませる。
この家の歴史は戦前から続いている。
戦争という激動の時代も乗り越えてきた。
様々な喜怒哀楽,人間模様が交差してきた。
今は祖父/祖母だけだが住んでいる。
親父が子供の頃は親戚連中含め数世帯がこの狭い家で暮らしていた。
終戦直後の日本全体が貧しい時代。
そんな貧しい時代を逞しく生き抜いた。
時が流れ今に至る。
来週には取壊される。
そして2007/07/09(月)地鎮祭が行われる。
約90年という長い歴史に幕を下ろす。
今までいろいろありがとう。
Top| by insomnia_1980 | 2007-06-30 23:45 | Life